股関節の主な疾患
変形性股関節症
症状
変形性股関節症とは、脚の骨と骨盤との間にある股関節軟骨がすり減り、炎症、そして痛みを発症させる病気です。立ち上がり・歩き始める時に、脚の付け根に痛みを感じます。進行すると、安静にしていても痛みが続く場合があります。可動域制限が進行すると足の爪切りや靴下の着脱、正座などが困難になります。
原因
変形性股関節症の原因は、肥満、重い荷物を運ぶ仕事、重量上げなどのスポーツに加え、遺伝要因もあると考えられていますが、原因の80%以上が「発育性股関節形成不全」によるといわれています。※発育性股関節形成不全:出生前後の環境因子や先天性要因により、股関節の形成不全や脱臼を生じるもの。
治療方法
保存療法と手術療法に大きく分かれます。
保存的治療
保存的治療は、手術を避けて症状を緩和する方法です。
鎮痛薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの薬を使って、痛みや炎症を軽減します。
体重の管理
適切な体重を維持することで、関節への負担を軽減し、症状の進行を遅らせることができます。
筋力トレーニング
運動器リハビリテーションにより筋力を増やすことで、関節の安定性を高め、痛みを軽減できます。
物理療法
電気治療により関節の柔軟性を改善し、痛みを軽減させます。
装具
歩行補助具(脚長差の補正や杖など)を用いることで、関節の負担を減らし、安定性を向上させることができます。
注射療法
症状が強い場合、ステロイドの注射療法が行われることがあります。ステロイドは、炎症を抑える作用があり、スピーディーに痛みや運動制限を改善することができます。ただし、ステロイドは副作用があるため、適切な投与量や投与頻度を守る必要があります。維持的に炎症を抑える場合はヒアルロン酸注射が有効です。
手術治療
股関節鏡視下手術
股関節鏡視下手術は、関節を直接観察しながら、関節軟骨や関節唇の損傷を修復する手術です。この手術は、関節への侵襲が少ないため回復が早いとされています。ただし、変形性股関節症が進行している場合には、効果が限定的な場合があります。
骨切り術(オステオトミー)
骨切り術は、関節を直接修復するのではなく、関節の形状や位置を変えることで、負担を分散させる手術です。主に若年の患者様や中等度の症状に対して行われます。骨切り手術は、関節置換手術までの時間を延ばすことができる場合があります。
人工股関節置換手術
人工股関節置換手術は、症状が重度で保存的治療や他の手術が効果がない場合に行われます。関節の損傷した部分を取り除き、金属やプラスチック製の人工関節に置き換える手術です。